チッコーネ

ブレス あの波の向こうへのチッコーネのレビュー・感想・評価

ブレス あの波の向こうへ(2017年製作の映画)
2.7
個人的に、現役俳優の中では一、二を争うくらいのイケメンだと思っているサイモン・ベイカーの出演兼監督作ということで鑑賞。
アメリカで成功した俳優が、オセアニア圏に帰還してヒットさせた作品、という意味での興味もあった。

前半はオーストラリア最大のアピールポイントである、自然の美しさを印象的に収めた画面が目を惹く。
また単純なスポーツ青春映画ではなく、退廃的な人間関係やビザール要素を挿入する野心もあり。
登場人物たちが全員、それぞれに後ろ暗い部分を抱えているというノワール的な設定が、複雑で面白い。
ログハウス場面の照明も、非常にきれいだ。

ただ脚本においてピークポイントとなりそうな『年の離れたふたりの男の対決場面』に力がないのは、ちょっと残念。
役者としてのイメージを考慮したのか、サイモン・ベイカーがイヤな男に成り切れていない。
また慎重派の主人公が、最後に「自分を貫く」という姿勢を見せるのは良いのだが、現実的と言えばあまりにも現実的な選択。
そこに至るまでのドラマをもうひと山用意して、さらなる説得力を持たせて欲しかったところだ。
恐らく脚本にも携わった原作者の、自伝的要素が濃厚な作品だからだろう。