Inagaquilala

ブレス あの波の向こうへのInagaquilalaのレビュー・感想・評価

ブレス あの波の向こうへ(2017年製作の映画)
3.7
あまり観る機会の少ないオースラリアの作品。俳優のサイモン・ベイカーが初めて監督した作品らしいが、なかなかのお手並みだ。サーフィンを通して、人間的な成長を遂げていく少年たちが主人公。そこに少し「青い麦」的な、年上女性への思慕なども入り、青春特有の痛みも描いた、なかなか深みもある作品だ。サーフィンのシーンはもちろん素晴らしく、オーストラリアの美しい自然も印象深く取り入れられている。これで音楽がふんだんに散りばめられていれば、ジョージ・ルーカスの初期の作品「アメリカン・グラフィティ」の感じだ。ただし少年たちが乗るのは、街をクルージングする改造車ではなく、波の上を滑るサーフボードだ。

オーストラリアを代表する作家ティム・ウィントンによる自伝的小説「ブレス 呼吸」が原作ということだが、青春映画としてはなかなかの名作だと思う。監督のサイモン・ベイカーがそのまま主人公を演じている他、製作も脚本も担当、年齢もまだ若いと思われるが、なかなか才能を感じさせる人物だ。主人公が好意を抱く人妻を演じたエリザベス・デビッキが印象に残った。
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