MasaichiYaguchi

アジア三面鏡2018:JOURNEYのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

アジア三面鏡2018:JOURNEY(2018年製作の映画)
3.4
国際交流基金アジアセンターと東京国際映画祭の共同プロジェクトで、アジアの気鋭監督3人が一つのテーマでオムニバス映画を共同製作する「アジア三面鏡」シリーズ第2弾では、デグナー監督が「海」、松永大司監督が「碧朱」、エドウィン監督が「第三の変数」という夫々の作品で共通テーマの「旅」を描いていく。
旅には物見遊山ばかりだけでなく、自分や自分を取り巻く世界、そして人々を見詰め直すインナートリップもある。
私は3作品共にインナートリップで、親子関係、日本とアジア、そして夫婦関係を取り上げていると思う。
「海」では現在の中国社会を垣間見せながら、時代によって社会が変わっても変わらぬもの、家族、親子というものを詩情豊かに描き出す。
「碧朱」では、ミャンマー・ヤンゴンの鉄道整備事業に携わる日本の商社マンを演じる長谷川博己さんの視点で、ヤンゴンの風景やそこで生活する人々が活写され、便利で洗練された日本が失ったものが浮き彫りにされている気がする。
そしてシュールなタッチの「第三の変数」では、ややブラックな寓話仕立てで倦怠期にあるインドネシア人夫婦の日本での旅を描く。
「旅は道連れ、世は情け」と言われるが、人に思いやりをもって接する旅は、恰も接した人々を通して鏡のように自分と向き合うものになると思う。