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METライブビューイング2018-19 ヴェルディ「椿姫」のadagietteのレビュー・感想・評価

5.0
衝撃のレヴァイン追放の後 白羽の矢がたったネゼ=セガン (耳慣れない名前。ハンガリーオリジン?)音楽監督デビュゥシーズン。
椿姫も あのデッカー演出から ブロードウェイ出身の メイヤーによる新演出に変わり 演じるのは ”歌うストリープ” ダムラウさま!とあって、雪だというのに東劇も満席!
アルフレートはフローレス。若干 線の細さが気になるものの 雰囲気はぴったり。ジェルモンはクィン・ケルシーという方、ハワイアンらしい。

さて新演出、一番驚いたのが セット替えがないこと!
6枚の明るいブルーのパネルにアラベスクか植物の蔓のような模様をかたどった金属のデコレーションを置き、1幕ではその間に扉を、2幕は何も置かず、3幕はカーテンを入れるだけ。
舞台の上のベッドやライティングデスク、ピアノもそのまんまですよ!
ライティングも手伝ってガラリと場の雰囲気を変えるコスパよさそうなセットでびっくり!

演出は、かなりオーソドックスな解釈に戻されている。よかった。
前のデッカー演出は殿方には人気でしたけどね。 ダムラウさまが幕間インタビューで語っていたとおり、あの演出は精神病み度が強い。
そして「こちらのビオレッタの方が、私の思い描く彼女です」と。
ですです🎶

ただ、ジェルモン父子は利己的で自分の立場でしかモノをみていない、そんなキャラクターになっている。
ゼフィレッリ版では、ビオレッタの気持ちも深く理解した上で、身勝手な願いを恥じながらも膝をまげ懇願する、温かい父性をヒロインにも注ぐ ジェルモン像だったように思う。
今回のマイヤー演出では 縁談が来てる妹ちゃんが出てきちゃう。
で、父は ”うちの事情”全開でぐいぐい交渉してくるのですな。
息子への愛情はたっぷりだけれど、ビオレッタはあくまでも迷惑な他人。
身体接触を最小限にしてあるのも”他人感”が強い。

そんなわけでビオレッタは一層孤独。
誰にも愛されないが、気丈に死が迎えに来る日までを生き抜く。
なんて健気で強いのでしょうか〜〜
爆泣きです。
ダムラウさまさまでした🎶

この日の案内役は ラチヴェリシュヴィリ(ああ覚えられない!)
ジョージア出身ですが、英語も上手いのですね。
こちらもエキゾチックな美女でした。

p.s.  カーテンコールで全オケがステージに呼ばれてた。初めて見た。
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