kingyohime

マイ・ブックショップのkingyohimeのネタバレレビュー・内容・結末

マイ・ブックショップ(2017年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

物語の舞台は、ひと昔前のイギリスの片田舎の海辺の町。
その町に夫を戦争でなくした女性が本屋を開くためやって来る。
そして、町にたった一つの本屋が出来た。
所が、本屋を開くため手にした物件を欲しがっていた町の有力者の妻から嫌がらせを受ける事になる。
町には引きこもりの歳老いた男性がおり、彼は本が好きで、町の子供を通して本屋に接触してくる。
やがて、女性は彼と心を通わし、友人になる。
それと、本屋を手伝ってくれる、従業員の女の子とも仲良しになる。
本屋には人が集まって来るようになるが、有力者の妻からの嫌がらせは続いて、見かねた引きこもりの老人が話をつけに行ってくれる事になるがー。

思っていたのと全く違う内容だった。
DVDのパッケージとあらすじから、雑貨好きの女性が好むような「ほっこり」した映画かと思っていたら、もっと厳しい内容だった。
町でたった一つの本屋を通して、だんだん田舎の人たちとの心の交流がもてるようになる、嫌がらせも止む、というのを予想していたら・・・。
むしろ、田舎の人の人情深い所よりも、狭い世界で生きる、ちっぽけな人間性みたいなのを見せてくれた。
こんな人たちに囲まれていたら、そりゃあ、本好きで洞察力の鋭い、繊細な人は引きこもりにもなるわな・・・と思った。
町の人たちからしたら、引きこもりの老人や本屋の女性は変人って事になるだろうけど、私からすると、こっちが正常だと思う。
人は、自分に危害を加えない人に、何故、嫌な形で関わろうとするんだろう。
一人ひとりが、それこそ本でも読んで、必要な時以外は自分と物語の世界にいればいいのに・・・。
だけど、観終えた後に暗い気持ちになる映画じゃない。
主人公の女性がこの町で本屋を開いた事は決して無駄じゃない。
ちゃんと、爪痕を残してると思える結末だった。

映画で使われている色がどれも鮮やかで素敵だった。
本や女性の服の色、建物の色、船の色、自然の色・・・。
女性の本屋がすごく素敵で、ドールハウスにしたいような本屋さんだったし、本棚の本が今と違って素敵な装丁の本で、本棚に並んでいるだけでワクワクした。
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