ねこ

マイ・ブックショップのねこのレビュー・感想・評価

マイ・ブックショップ(2017年製作の映画)
3.5
落ち着いた色調、ブラウスの柄、ニットの風合い、身近な景色、どれも大変好ましいが、とりわけ書店に並ぶ一冊一冊の装丁が非常に美しく、それらを見ているだけでとても幸せな気持ちになった
だが、ストーリーはかなり現実的
それでも内容の割に雰囲気を壊すことなく物語が終わるのは、夫人が表立って感情的な言動をとらなかったからだろう(だからこそタチが悪いとも言えるが)
夫人とフローレンスとの間を行き来するロイの、背骨の無さそうなゆらゆら感と微かに漂う哀愁も、冷酷な物語を中和させているような気がする

人々を先導する立場の人間がどれほどの品性を持ち合わせているかで、共同体の質も変わる
昔も今も悩ましき問題だ

未亡人歴16年と聞いてから急に物語が遠くなってしまった
疑問解決のためにも是非、原作を読んでみたい
ねこ

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