みえこふ

マイ・ブックショップのみえこふのレビュー・感想・評価

マイ・ブックショップ(2017年製作の映画)
4.2
タイトル、ポスター、古き良きイギリスの港町の風景、可愛らしい家々やインテリア、衣装などの映像がもたらすイメージから、ハートウォーミングな作品と思わせて、もちろん温かさもあるけれど、現代にもある政治や権力のいやらしさも描かれた骨太な作品でした。よくある社会派映画ではないけれど。
イギリス映画あるあるな、奇跡につながる大胆な展開はないですが、希望の見せ方は粋な感じで良かったです。
周りの人の力が励みになって、窮地を脱した、なんてエピソードはたまに聞きますし、たまに書籍やTVドラマ、映画になったりもします。でもみんながそんな幸運に恵まれるわけでもないし、何より人はそんなに強くない。必ずうまくいくわけではないけど、希望がなくなるわけじゃないよと、あなたのがんばりをちゃんと見ている人がいるよと、この映画は言ってます。

今は書店や出版関係の業界、厳しい状況です。特に町の本屋さんどんどん無くなって寂しい。立ちはだかるのはこの映画とは違う脅威だけど。経営や生活は厳しくなるけど、紙の本への希望は捨てないでほしいと思います。

また、この映画に描かれたようなことは、書店に限らず、昔ながらの商店街や個人商店にときどきある話です。自分の身近にもありました。
映画の中に出てくる港町の住人たちも印象に残ります。
周囲の人の見て見ぬ振りとか無関心も社会の脅威だなって。
とはいえ自分も手を差し伸べるまでの勇気もなかなか出せなかったり。
ならばまず、弱きを助ける人を見つけることから始めてみたら…

と、いうことで、
意外にも選挙前に観ておくと、投票へと背中を押す作品かもしれません。
みえこふ

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