なっちゃーーん

楽園のなっちゃーーんのレビュー・感想・評価

楽園(2019年製作の映画)
3.0
苦しかった。悲しくて辛くて、とっても落ち込んだ。

舞台となるのは、ひとつの村。この狭くて小さな村が、閉鎖的で冷酷な現代社会そのものだった。とある田舎の住人の話ではなく、私たちの話。今の日本の嫌な部分を延々と見させられ、とにかく辛かった。辛すぎた。

話は、どこにも居場所がない3人 ー 紡、豪士、善治郎 ー がY字の分かれ道での事件をきっかけに繋がっていく、というもの。

“楽園”を渇望した3人の運命に、胸が締めつけられる。犯罪者をつくりあげるのは、この世の中なのかもしれない。そんなことを考えさせられるものだった。

それにしても、この地獄のような映画にタイトル「楽園」をつけるのが皮肉的で、巧い!!!そして台詞一つひとつが今の日本を表していて、痛烈に心に響く。

地獄のような映画で、一筋の光となるのは紡の存在。彼女の言うように“楽園”をつくるには「まだ遅くない」。もしかしたら瀬々監督は「これから“楽園”をつくってくれ」と紡(=私たち)に未来を託したのかとしれないな〜。(深読みしすぎかな!)

3人の演技も凄まじかった。特に佐藤浩市の、深い悲しみと寂しさを背負い狂気に走っていく様には泣かされた。

もう観たくないけど、観てよかった。