RIO

楽園のRIOのレビュー・感想・評価

楽園(2019年製作の映画)
4.7
老害って怖ぇー。

おそらく近年観た中で最も題名と内容が一致していない作品。

楽園というより地獄だった。

田舎町の集落だからこそあるめんどくさい近所付き合いでの人間関係。

そんな中で、突如起こる少女失踪事件をきっかけに、破裂する人間の本性のあまりの醜さに、呆然としてしまいました。

真実とも分かり得ないものを真実だとでっち上げ、罪をなすりつける。
そして、それを善意だと無理矢理信じ込み、集団で寄ってたかって袋叩きにする。

それが、殺人なんかよりも残虐的な行為だとも知らずに。
いや、逆に知っていても、見て見ぬふりをするのでしょう。

すべては自分たちの納得できる答えが欲しいから。
無理矢理にでも事件は解決したと思い込みたいから。

だから、平気で人を罪に落とし入れ、人生をめちゃくちゃにする。

あまりに卑劣で、傲慢で、醜い。

自分自身が、そんな人間という生き物の中の1つであるということに恐怖を感じました。

自分がもし追いつめる立場だったら、逆に人生を壊される立場だったら。

こんなにも気持ち悪くて、醜くて、残酷な、ドロドロの人間関係を、もし自分が背負っていかなければならなくなったら。

なんて、考えただけでも恐怖で体が震えてきます。

主役キャラ3人の演技も凄まじかった。

特に綾野剛が素晴らしすぎ。
些細な表情の一つ一つから細かな心情の変化が伝わってくるほどの圧巻の演技。
新宿スワンや亜人の時の綾野剛と同一人物とは思えない怪演は本当にお見事です。

あと、
「信じた人は、殺人犯なのか?」
という本作のキャッチコピーに関しては、
ちゃんと作品観てんのか?
って思った。

別に犯人が誰なのかに焦点を当てているわけではないし、犯人探しのミステリーではないから、そこの部分を期待して観ると多分ガッカリします。

だいぶ曖昧につくられてるから、どっちかというと、観客に想像させて委ねる系の作品。

今年観た邦画の中ではダントツ1位の怪作なので、ズーンとした重苦しい邦画が観たい方には激推ししたい作品です。
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