いろどり

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「どんどんバカになっていく」

何度もそう呟くおばあさん。
作中、おばあさんの言葉がどんどん変わっていくのが辛かった。

タイトルはお正月のおばあさんの言葉。

できることがどんどんなくなっていき、自分が自分でなくなっていく。

恐怖、怒り、悲しみがむしばみ、「死んだほうが良い」「包丁持ってきて」と泣き叫ぶようになる。辛い。

本人が受け入れることはなかなか難しい病気。自分の未来を想像せずにはいられない。今回は点数をつけられなかった。

95歳で家事を始め、裁縫までできるようになるおじいさん。運命だと受け入れ、穏やかな表情でおばあさんに寄り添う。お二人の優しい表情、監督である娘さんとの良好な関係が、良いご両親なこと、良いご夫婦なことを物語り、緊張した私の心を温かくしてくれた。自分が築いた愛は必ずかえってくる。そう強く感じられる力強い愛情がそこにあった。

自分のしたいことができなかったおじいさんの思いを監督が全力で受け止めたからこそ世に出た作品なんだと思った。
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