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Girl/ガールのkのレビュー・感想・評価

Girl/ガール(2018年製作の映画)
5.0
監督が新聞で見つけた"トランスジェンダー女性が、バレリーナを目指すために男性のクラスから女性のクラスに編入したいと学校に要望し、拒否された"記事を元に、9年かけて制作された映画。
オリジナル脚本。

この映画はアカデミー賞の外国語映画賞をはじめたくさんの賞を獲った中で、主人公や監督がシスジェンダー男性であったことが問題になったそう。

私もトランスの役はトランスが演じるべきという問題について日々答えを出せずにいるんだけど、この映画を観て更に答えがわからなくなった。

思春期のもどかしさ、自分を抑え込む苦しさの表現がめちゃくちゃうまい。
光の加減や些細なカットでさりげなく、かつ鮮明に映し出されている。
ラストにもかなり批判があったそうだけど、モデルとなった女性は「私はしていませんが、毎日そのようなことを考えていました」と擁護したそう。
当事者との信頼関係があるからこその作品になったんだと私は思いました。

監督は、モデルとなった女性の勇気や、若くして確立されたアイデンティティを描きたかったとのこと。
そして、監督自身が幼い頃からトキシックマスキュリニティ(ダンスや音楽が好きだったのに親に否定された)に苦しんだ経験から、「男だから女だからと、好きなことを制限したくない」という思いもあったそう。

モデルとなった女性は「私に寄り添ってくれた」と納得していて、主演のヴィクトールさんは自身の女性性を見事に引き出し、勇気ある女性を演じていると感じました。

本当に難しい。
本当に素晴らしかった。
とても苦しくなるけど、叙情的な作品で心が洗われるような誠実さに溢れています。

夢があって努力する人の可能性を狭めてはいけない。
1度しかない人生を全うする。それは誰にも邪魔されるべきではない。

オリンピックでトランス女性が出場したら ーーー、というハッキリとした差別的な発言がありましたが、誰彼構わず出場できるわけではないのに、酷い言葉で否定して、本当に山谷たちの神経を疑う。

それにホルモン治療は慎重に行わないといけないし、オリンピックのために健康を害してしまっては元も子もない。

トランスジェンダーの人々も、スポーツをして、その才能を磨いて可能性を広げる。
トランスばかりが優勝することを懸念する人も世界の一部でいるみたいだけど、シスがこれまでどれだけトランスの可能性を奪ってきたと言うの?

#自民党lgbt差別発言の撤回謝罪を求めます

どんなジェンダーでも、セクシュアリティでも、自分が熱中できることや、やりたいと思えることに出会えたら、ただ自分の思うように出来ることが当たり前であって欲しい。

ひとりひとりの熱意や幸せなど、もっと想像することが出来たら。
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