kana

Girl/ガールのkanaのレビュー・感想・評価

Girl/ガール(2018年製作の映画)
4.0
*以下、映画の描写と監督の言葉に触れています。


トランスジェンダーとして生きる主人公ララの内なる葛藤に焦点が当てられた作品。
他人と関わるシーンは勿論だけれど、ひとりで部屋のいるシーンや電車にのるシーンなど、日々の繰り返しの光景を映すことで、内側の感情が描き出されていた。個人的に鳥肌が立ったのはララがプールに飛び込むシーンと、青白く照らされて死に物狂いで踊るシーン。
照明については監督自ら説明をしていて、赤い照明は、ララと他人の接触があるシーンで使ったとのこと。他人との接触は「危険」であるということから、という言葉を聞いてとても腑に落ちた。
また、この映画にはメタファーが沢山あるとも言っていた。トゥーシューズに足を無理やりはめ込むシーンには鋭いバイオリンの音が使われているが、これもララが自分の身体を型にはめようとする部分。また、後半にかけて浮き出る背骨も痛々しいほどに強調されていた。この映画は、他人と同じようになりたい為に(それが楽であるから)、自分を型にはめることをしてしまうわたし達のストーリーでもあるんだよとの監督の言葉がとても良かった。そういう意味で、ララの生活や日常の動きに繰り返して焦点を当てたこの映画には、わたしも苦しさを共通して感じる部分があった。
自分自身と格闘する、もがく様子の描き方、切り取り方が素晴らしかった。
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