バレエって体を「バレエの体」に変えるんですね。
どのスポーツもそうかと思いますが、
体を作り変える必要がある。
バレエの場合、印象的なのは足。
爪先立ちでステップするために
痛めつけながら徐々に足を「固くする」そうです。
皮膚が剥がれ血が流れる変化。
ララはバレエの体に変え、
そして本来の性の体に変える物語です。
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ララは自分の気持ち全然喋んないんですよ。
優しいパパが「大丈夫?大丈夫?」って聞いても、大丈夫って言うだけ。
表情にもそんなに出さない。
でも、開始数分でもう僕はララの感情と同期しましたので
直接ララの気持ちが僕の脳に電波信号となって伝わってきましたよ。
いやぁ、辛かった。。。
女子なのに
毎朝朝勃ちしちゃうわけですよ。
毎朝最悪の気分じゃないか!と。
ほとんど実感に近いような苦しみを僕も感じましたよ。
一瞬のシーンだし
ララも別に大きなリアクションとるわけじゃないんだけど
もうわかるんですよ、同期してるから。。
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全体的にセリフ少ないですね。
少ないセリフでも表面だけじゃなく
その裏面や側面の感情やら状況やらを伝えてくれます。
セリフ自体もうまいし
演技もみなさん素晴らしい。
全員本人かと思うくらい。
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ララを演じたポルスターくんはまぁまぁホントに白眉。
どうやったらあんな微妙な表情のパターンを表現できるんでしょうか。
バレエの技術の高さもすごいけど
バレエの下手さもリアル。
ほんとに訓練してバレエをできる人だからこそ、あの転び方ができるんだろうし
「バレリーナになりたい」
っていう気持ちのどうしようもなさが体からにじみ出てました。
ララがバレリーナを目指さなければもうちょっと楽かもしれないのに…
って思っちゃうんだけど
ララ自身もなんでかわかんないくらいに
「バレリーナになりたい」んだろうなと思わせる気迫がありました。
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お父さんもいいですね。
役柄的には唯一の安心。
ララに理解のある優しいお父さん。
これが上っ面にならなかったのは演技力かと。
あと、女子グループのリーダーね。
顔の濃い、美人の子。
最初はララに対しても隔たりなく接してくれる友達って感じで
僕も「この子にすがってクラスに馴染んでいけ!」と願うんですが、
ララがバレエの力をつけて台頭してくると
今まで「かわいそうな子」だと下に見ていたララが脅威になってきて
あの地獄のお泊まり会ですよ。。。
「3本目の足見せてよ」から「ララ怒ってないって〜」までの地獄。
女子リーダー最高に最悪で素晴らしかった。
彼女のバックグラウンドなんてなにも描かれてないのに素晴らしい奥行き!
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エレレベーター男子との〝やりとり〟も切なかったですね。。
彼の手の動きを制するララの手の切ないこと。。
そして私にはこれしかできないと。。
涙。。。
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105分ですよ。
ワンシーンが短い。
バンバン進む。
お涙頂戴みたいな時間が一切ない。
ザンザンバンバン進む。
でも、セリフもシチュエーションも完璧だから、全て以上の情報を得てしまう。
いやぁ衝撃!
素晴らしい!
ラストについてはコメント欄に!!!!!!!!!!
ギャア!