すいか

Girl/ガールのすいかのレビュー・感想・評価

Girl/ガール(2018年製作の映画)
4.1
作品全体を通した静かな雰囲気が、トランスジェンダーである16歳のララの繊細な心情を引き立てている。決してドラマチックではない控えめな物語だが、ララとうまく重なっていて、心にすっと入ってきた。

思春期を迎えて、どんどんと強くなる女性の体に対する憧れと、自分の体に対する嫌悪感。性転換の手術ができるのは2年後で、その前に体の女性化を目的としたホルモン療法が始まるが、それほど劇的に体が変わるわけではない。
そして、彼女が大好きなバレエ。わざわざバレエの名門校に転校したけれど、待っていたのは、とても厳しい練習だった。本来骨が柔らかいうちにするメニューも彼女にとっては初めてで、痛みと闘いながら、毎日のレッスンをこなす。
学校では女性として対応されていて、あからさまなイジメのようなものはないが、同級生たちは無邪気に残酷なことをララに言ったりする。

この、体と心の苦しみが、本当に辛そうで、観ている方も苦しくなってきた。思春期の苦悩なんて生易しいものじゃない。
ありのままの自分を愛する、なんて、難しいよね。
ラストにかけて、衝撃的な展開を迎える。そして、ラストカットの彼女の姿は…
体も心も、美しく強く成長して輝くララの未来の姿を願わずにいられなかった。娘を愛する父親がいて、優秀な医療スタッフがいて、厳しくも優しいバレエの先生がいる。頑張って、ララ!
すいか

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