トランスジェンダーの子がバレリーナを目指すバレエがメインの話だと思っていたので、葛藤しながら心身共に追い込まれて行く主人公ララを見ているのがとても辛かったです。
作品の大半が主人公にフォーカスした日常の繰り返しで徐々に悩みと痛みが増して行く描写はトランスジェンダーならではの繊細な問題と並行してジワジワと観ている側にも痛みが歩み寄って来ます。
自分が他者からどう見られているかを常に気にして、日常生活もままならないララの悩みを演じ切った男の子完璧なキャスティングだったと思います。
LGBTQを描く作品が増えて来た中で性行為とは異なる強烈な描写が幾つかあるため、ネトフリ配信の許可が下りなかったのも納得の人間の生々しさと主人公の心情が上手く描かれた作品です。
ルーカス・ドン監督の長編デビュー作ですが、第二のグザヴィエ・ドランかどうかは観てお確かめください。
●2020年132作目●