斬切りバーニー

グリーンブックの斬切りバーニーのレビュー・感想・評価

グリーンブック(2018年製作の映画)
4.0
こういう映画を見ると、映画が社会に及ぼす影響力について、否が応でも実感させられる。もちろんエンタメとして娯楽に心救われる時もあるけれど、それだけではなく「学び」と言う意味で、世界で何が起き何が齎されたかを知ることは、大いに意義のあることのように思う。

既に知っている人も多いだろうが、今作では黒人差別を取り上げている。天才黒人ピアニストの演奏ツアーに、運転手兼ボディガードとして雇われたイタリア系男が、行く先々で理不尽な差別に苦しめられ、しかし友情を深めていく……という話だ。

上記のあらすじからも感じたかもしれないが、日本という単一民族国家で生きる者として、縁遠い話ではあると思う。ほとんどの人が自分のことに置き換え、自分はそのような差別をしていないと安堵し、差別はしてはならないと改めて正義感を燃やしたことだろう。

だけど、話をもっと広義に受け取れば、当然、日本でも差別は起きている。性別、容姿、学歴、障害……数え上げたらキリがない。何の先入観もない、まっさらな気持ちで人と向き合うことが、どれだけ難しいことか。年齢を重ねるごとに思いしらされる。

差別はきっと無くならない。私はそう思う。誰も口にしないけれど、分かりきっていることだ。それを実現できるほど人間はきれいではないし、浅ましくて卑しくてみっともないから人間なのである。

だけど重要なのは、心で思うことと態度で表すことは、天と地ほどの差があること。態度に表すから、問題がある。それを上手く隠すのが大人で、上手く回すのが日本人。それは差別とは異なり、品性によるものである。