当時同時期に公開された『ブラック・クランズマン』の強烈さと比して、差別描写や問題提起が幾らかぬるく、エンターテイメントにふりすぎているという批判があったのを覚えていて、やや警戒しつつ観た。(そしてそれはまあまあその通りだった。)
トニーとドン・シャーリーの二人が双方素晴らしく『人たらし』なので、彼らの作品と思えば愛さずにはいられない映画。面白かったです。
我々はみんなトニーのように、ないしドクのように生きたいし、そういう友を持ちたいと思っている。たぶん。
気まずくなる度にシーンを地ならすように入るドンのピアノ曲は美しく軽快で、恐らくは2019年の公開にあわせ発売されたアルバム『ドン・シャーリーの真髄』を手に取ってしまった。
冒頭の批判があったとはいえ、当時他の黒人達と異なる育ちであった(と描写される)ドンの複雑な立ち位置と心情が、テーマに深みを与えていたように思いました。