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グリーンブックのReoのレビュー・感想・評価

グリーンブック(2018年製作の映画)
4.5
差別のある時代に生きた、正反対の2人が徐々に心を通わせていく作品。

人種差別とは今も尚大きな問題である。
生まれ持った肌の色や人種、種族が異なるだけで、差別を余儀なくされる。その中でも肌の色による差別は、後を絶たない。我々も黄色人という種類にあたるが、皆同じ人間である。たとえ少し違っていても、出生時から平等な権利を得ていると感じる。
今作は、肌の色による差別がテーマとなっていたが、もしかすると我々が持つ海外の方へのイメージも、些細な差別的な要素が少なからずあるかもしれない。例えば、アメリカの方は体型が丸い人が多そうだとか、ハンバーガーが好きそうだといった偏見を勝手に浮かべている。だが、そういった考えが大きくなり、差別を生む。自分が差別とは思っていなくても、相手や周りが感じているのであれば、それは差別と言える。他者に対して、勝手なイメージを持ってしまう事は、仕方のない事だが、イメージのみで優劣をつけたりする事は正しいとは言えない。
繰り返して言うが、人間は皆平等の権利を持っているとそう思わされる作品だった。

旅を通して2人の関係に、絆が生まれていく。最初は毛嫌いしていただけであった黒人も、人情味や音楽を通じて打ち解けあい、築く人間関係が堪らなく素敵であった。
そして、差別のある時代にここまでのし上がったドクに称賛しかない。実話だと聞くと、尚更感じる。また、自身の地域だけで生涯コンサートを行っていても、差別はなくならないという心意気が本当にかっこよかった。
それから、白人と黒人の貧富の差を上手く表現されていた。この時代のアメリカでは、黒人への扱い方がどれだけ才に恵まれている人でも差別をされるといった悲しい時代背景が伺えた。肉体労働や下っ端の職にしか就けないという環境を横目で見るドクの悲しい瞳は、凄く心に響くものがあった。そして、どれだけ白人に言われても暴力を振るわないドク。心の奥では憤慨しているはずなのに、表に出さないまさに紳士である。暴力で物事は解決しないという事を感じさせられた。
なんと言っても、彼らが黒人差別という問題に真摯に向き合う姿勢がエンドロールにあった成功の人生へと導いたんではないかと感じた。

追伸
子どもにキスを
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