よあしい

グリーンブックのよあしいのレビュー・感想・評価

グリーンブック(2018年製作の映画)
5.0
傑作。大傑作。これは2019年、日本人の心をかき乱すはずだ。

黒人で天才ピアニストのドン・シャーリーはアメリカ全国ツアー開催にあたり、ドライバーを求める。たまたま失業したイタリア系アメリカ人のトニーはこの話を知合いから聞き、とりあえず面接を受けることにする。しかし提案が多すぎて挫折しそうになる…!

話の展開がこんなに「ジャストフィット」だと思った映画は久しぶりだ。この素晴らしいテンポ。


さて、日本人にはあまりなじみがないであろう「Green Book」とは何か、少し解説をする。

ヴィクター・H・グリーンという人が刊行したガイドブック。
自動車で旅行する黒人のために出版され、1936年から1966年まで毎年改更新され出版し続けられていたもの。法がまだ人種差別的なものを持っていた時代だったので、これを出版することはとても意味があることだった。
トニーとドンはこのGreen Bookで黒人が宿泊できるホテルを探しながらツアーをしていく…。


イタリアの陽気な部分をそのまま背負ったかのような男トニーを選んだドンの意味とは何だったのか、この映画が終わってから気付く。

まるで正反対の2人だが、とにかく強くて軍隊にもいたことがあってちょっと抜けていて、めちゃくちゃ手紙を書くのが下手でチョッピーなセンテンスが面白いトニー。正義感も人一倍強い。

この60年代、一番アメリカが栄えていて、これから発展するといったところ。街並みも車も最高なのだが、最悪なのが「差別」。まだ残っている差別を、一回ではなく映画の中に何度も組み込んでくる。
大勢の黒人が働いている畑、ドンが入れないレストラン、なんども暴行を受ける彼。いつも無表情でツンとしながらそこにいるドンが、その時だけは本気でおびえている。
警察官が車を止め、「なぜ白人が黒人の運転手なんかしてんだ?IDを見せろ」と差別からくる職務質問。そしてもちろん、スペイン系アメリカ人のトニーにもその災難はふりかかる。

人の優しさというものがどれだけ美しく、人の心を癒すのか、本当に雪の降るクリスマスからのシーンは見どころである。
もう何度も苦しくて泣いた。白人はこれをただの「黒人と移民のアメリカ人が旅して意地悪する白人をすり抜けていく話」と思い笑って見るが、海外に出たことのある日本人ならわかるはずだ、この苦しさが、昔はもっと酷かったと。こんなことされていて、生きていけないと挫折しそうになる残酷さだ。

ロードムービーでありながら拠点がしっかりあり、面白いシーン満載。これはトニーが存在しなかったら、ただのお涙頂戴差別映画になっていただろう。こんなお気楽で楽しくて強い彼がいるからこそ、この映画は成り立ったのだと思う。


文句がない。これほどに優れた映画は久しぶりに見た。
とにかくジョークが満載で車中の会話がどんどん面白くなる。日本人にも伝わるジョークがほとんどだと思う。これは日本人、確実に好きだと思う。

美しい。