うさふわ

グリーンブックのうさふわのレビュー・感想・評価

グリーンブック(2018年製作の映画)
4.3
「人は決して暴力では勝てない。威厳を保ったときだけ勝てるんだ」

「OK,いいか。あんたと旅をするのは何も問題ない。だけど俺は執事じゃねえ」

1962年、アメリカ南部では人種差別的な法律がまかり通っていた時代。

「神の域の技巧」を持つ黒人ピアニストが、2人の楽器奏者とイタリア系マネージャーと共にアメリカ南部ツアーに挑み、幾重もの垣根を超えて友情が結実する実話ベースのバディームービー💗
(そしてモグモグムービー🍔)

1回目は劇場で、2回目は機内、今回3回目にして新たな発見と更なる味わい深さを見出せた🌟鑑賞の機会に感謝です✨

シャープで洗練された出で立ち、高貴で厳格、理知的でロマンチストな黒人ピアニスト、常に孤独と対峙するドン・シャーリー🎹

メタボな中年体型、粗野で無学、差別発言のオンパレード、口巧みで世渡り上手なマネージャー、妻や子供を愛するトニー・リップ💪

見てくれから中身まで正反対のドン&トニー
2人の築き上げた友情は何にも代えがたい価値のある、本物の宝物💎✨

ドンのフライドチキンを食べるおぼつかない姿が、微笑ましくてとってもキュート🍗💓
ブレることなく尊厳を保ち続ける真っ直ぐな彼が好き。
トニーのイタリア系特有の手振りが好き🤝
常に何か食べてる驚異的な食欲、逆境をギリギリ切り抜ける持ち前の生命力が最高に魅力。
サンドに手を伸ばす姿と巨大なピザを頬張る姿がおかしくて愛おしい🌭🥪🥯🍕

何より素敵だったのは、美しい妻ドロレス💖
寛容でホスピタリティ溢れる温かくてお料理上手な彼女に尊敬。
素敵な奥さんに恵まれたトニーは最高の幸せ者だね👏

トニーが心を震わせるシーンが印象的。デタラメばかりのトニーが音楽に対して純粋に敬意を抱き、目を輝かせる本能は本物💎
全ての境界を超えて人々を癒し、人の心を動かせるのって、音楽くらいかもしれないね。音楽の持つ原始的なパワーを感じた。

妻ドロレスに宛ててトニーが手紙を綴るシーンも大好きだった。顔の見えない相手に何か思いを伝えたい時、自分の気持ちだけでは不十分で、時に誤解を生んでしまうこともある。
スマホで手軽に文字のやり取りができるこの時代、相手に伝わる文章にしようと学ぶ、トニーの謙虚で真摯な姿勢に私は心を撃たれたのでした。

人種、ジェンダー、格差の問題をテーマにした作品はその問題を象徴するように、悲痛で胸が張り裂けそうになる作品が多い。
問題を軽視するつもりはないし依然として根深い現実は続いているけど、そろそろこの物語のようなポジティブな希望も見たかった🚇✨

いくら気持ちに寄り添おうとしても当事者にはなれないし、一人一人の境遇は違うから理解をする事は時に難しいかもしれないけど、大切なのはどんな相手も人として尊重しようとする"姿勢"と"言葉"と"行動"なのかな。人と関わる上で大切な事を、この映画が教えてくれたように思う。

翡翠石の持つ意味は『忍耐、調和、飛躍』。
持つ人に叡智を与えてくれるお守りだそう。
奪う事では決して得られない真価があった。

日常で翡翠色を見つけては、きっとこの映画を思い出す。そんなお守りの様な物語。
心を豊かにする物語が、これからも形を変えて紡がれていきますように。

P.S この愛おしい物語にハグを。💓
うさふわ

うさふわ