ShojiIkura

グリーンブックのShojiIkuraのレビュー・感想・評価

グリーンブック(2018年製作の映画)
4.0
アカデミー賞での好評価を後ろ楯に日本公開。このパターンでの駄作はあまり見たことがない。今回もブラックなジョークが散りばめられながら心にスーっと染み込む素晴らしい作品だった。1962年というと私の生まれた年なのだが、南北戦争から何十年たってもまだ南部には差別が色濃く残っていたことを知り、昨今の某大統領の発言なども通じる大国の課題なのだと思う。しかし、映画のなかでは人種だけではなく、表社会と裏社会、豊かな者と貧しいもの、教養の高いものと低いものなど、様々な格差が存在している。しかし、同じ時間を共有することでお互いに偏見であることに気付き、人としての誇りと、独りの弱さ、支えあう力に気付く。"リップ"に俺はお前より黒人社会のような世界で育ってきた(から理解できる)、と言われたシャーリーがどしゃ降りの雨のなか飛び出して、自分は黒人でも白人でもない、何者でもない、とその孤独を吐き出すシーンはとくに心を打った。
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