ほーりー

グリーンブックのほーりーのレビュー・感想・評価

グリーンブック(2018年製作の映画)
3.8
1ヶ月以上経つのにまだまだ公開してくれていることに感謝。

3月は結局仕事が忙しくて映画館に足を運ぶことができなかったが、やっと時間ができて昨日本作を観ることが叶った。

2月のアカデミー賞授賞式の際、全然内容は知らないのだが何となく「ROMA」ではなく本作が獲るような感じがした。その感の通り、やはり本作が作品賞に輝いた。

で、実際に観てみて、久しぶりにハリウッドらしい作品と出会えたという感じを受けた。尖った作品も結構だがやはり時にはこういう角のとれた作品も必要だと思う。

しかし数々のおバカ映画の傑作を世に放ったファレリー兄弟のお兄さんピーターが監督ということに驚く。

もう既にほとんどの方が観ているので、ここであらすじをツラツラ書いてもしょーがないので省きます。

でっぷり太ったイタリア系運転手&用心棒(ヴィゴ・モーテンセン)が粗暴で知性が低く、雇い主である黒人の天才ピアニスト(マハーシャラ・アリ)が紳士的で教養がある。

この相容れない二人が一緒に旅をすることで、お互いの良き点に気づいてそして成長していくストーリーも面白いのだが、個人的には、どこにも帰属できずに葛藤するアリの姿が印象的だった。

進歩的な黒人である彼は、白人から相変わらず差別され、そして同じ黒人からも「白人みてぇな野郎だ」と白い目で見られ、彼はどこにも居場所がない、帰属できるところがない。

かつて黒人俳優のパイオニアだったシドニー・ポワチエは、エリートばかり演じたことにより黒人層から「何一つ彼に共感できない」と厳しい批判を受けたという。

それに実際に本作だってアカデミー賞に輝いた際にはスパイク・リー監督からも「白人目線だ」と非難されている。

ちなみにこの時のスパイク・リーのコメントで「誰が誰かを乗せて運転する映画のときはいつも俺は負けるんだ」というコメントが面白い。前回は「ドライビングMissデイジー」ですな。

色々と賛否両論の作品だけど、やっぱり良い作品だなと感じるのはラストのクリスマスパーティーの描き方。

ひとりぼっちの天才をクリスマスパーティーの晩、迎え入れてくれるのが貧しい移民(あの質屋の夫婦もユダヤ移民でしょう)たちであり、あの心暖まる場面はキャプラの「素晴らしき哉、人生!」を彷彿させる。

■映画 DATA==========================
監督:ピーター・ファレリー
脚本:ニック・バレロンガ/ブライアン・ヘインズ・クリー/ピーター・ファレリー
製作:ジム・バーク/ニック・バレロンガ/ブライアン・ヘインズ・クリーほか
音楽:クリス・バワーズ
撮影:ショーン・ポーター
公開:2018年11月16日(米)/2019年3月1日(日)
ほーりー

ほーりー