OKADA

グリーンブックのOKADAのレビュー・感想・評価

グリーンブック(2018年製作の映画)
3.9
観る前はイタリア系アメリカ人とアフリカ系アメリカ人との人種問題を取り上げたありきたりな話かと思いましたが、予想よりも説教臭くなく内容も差別を描いてはいるものの重すぎず、かと言って軽すぎずバランスの良い万人受けする作品だと感じました。

邦画のヒューマンドラマであれば終盤に必ずと言っていいほど涙を誘うようなクサい演出を入れたりしますが、この作品は終始二人の友情を爽やかに描いており観やすさという点でも優れていると思いました。

第91回アカデミー作品賞を受賞したことで海外では「黒人に寛容な白人を賛美してるだけの作品」や「事実と全く違う」などの批判もあり、そう言われてしまうと確かに諸手を挙げて大絶賛はできないかもしれませんが本作は事実をもとにしたコメディとしてそこまで意地悪に考えなければ純粋にいい作品だと思いました。

昨年の「スリービルボード」のフランシス・マクドーマンドやサム・ロックウェルもそうでしたが本作のマハーシャラ・アリとヴィゴ・モーテンセンの演技が非常に素晴らしく、この二人の演技あってこその作品であることは間違いないでしょう。
もし、どちらか片方を違う役者が演じていたらここまで評価されていなかったかもしれません。

特にドクター・シャーリー扮するマハーシャラ・アリは姿勢や表情、仕草までまさにインテリの塊のような劇中のスタイルは演技なのか役者の素が出てるのかわからないほど自然体で一気にその魅力に惹きつけられました。
一方、トニー役のヴィゴ・モーテンセンはかつてLORのヒロイックな王様役をやってたとは思えないほど本作ではお腹がでっぷりと出ており、一目見ただけで育ちの悪さを全身から醸し出す役作りは流石だと思いました。
他の方も言ってるように本作のトニーのキャラクターははまさに60年代の米国版寅さんと言ってもいいでしょう。妻子がいるところは違いますが....(笑)

本作は社会派ドラマでもなければ伝記映画でもない、事実を題材にしたヒューマン・コメディとして観れば傑作だと思います。