”GREEN - BOOK : For Vacation Without Aggravation"
（『グリーンブック：不愉快と縁のないバカンス』）
天才ピアニストドクター・シャーリーがあえてアメリカ南部に演奏旅行をしようとする。そのドライバー兼付き添いに、NYブロンクスの腕利き用心棒のイタリア系白人トニー・リップを雇う。当時職を失っていたトニーは金のために仕事を引き受けることに。上記の『グリーンブック』を持って。
1960年代のアメリカを舞台にしたロードムービー。粗野で無教養なトニーと、知性的で洗練されたドク。最初こそ主人と従者という関係であったが、やがて互いに感化されてゆく。毅然としていたドクだったが実は繊細で孤独であった。そんな彼は自分とは対照的なトニーの陽気さとおおらかさに惹かれる。一方のトニーの方も南部地方の悪意に満ちた偏見ぶりに嫌気がさし、それに耐えるドクの、黒人の心情を理解するようになる。
人種差別というナーバスなテーマを扱っているが、ところどころで見られるコミカルなシーンが、シリアスになりすぎず、いい具合に収まっています。（例えば、最初の頃の、二人の会話の中で見られるドクとトニーの間とか）。
※二人のギャップがわかるシーンは、例えばヒスイの石のところ。
トニーは盗んでまでヒスイが欲しかったわけではない。偶然落ちていたから拾っただけで、彼はそのツキが嬉しかった。ところがそれがドクにはわからない。物事を理でのみ考えるドクには、情で動くトニーがわからない。
