このテのホラーは画面がグラグラ、気分が悪くなってくるので避けていたのだが、さすが絵心溢れる『奇談1942』の監督。
画面酔い一歩手前で目まぐるしく入れ替わる編集、固定カメラやドローン撮影映像も適度に織り交ぜ、スムーズに魅せる。
また役者陣が演技をしながら担当したという撮影も、大胆かつリアルだった(鼻毛が出ている役者がいたりして、と思ったが、皆きれいに整えている)。
もっと、いくらでも怖くできたはずの演出には意外な慎みあり。
斜め後ろから襲い掛かるようなジャンプスケアや、音楽による煽情はほぼ見当たらない。
それゆえ終盤に現れる霊体の説得力がいまひとつ、というきらいも。
現代のライバー気質に向けられた皮肉な視線を感じられるのは、小気味よかった。
作風には「ひと山当てよう」という山師感覚漂うが、実際の監督はかなり知的な人物の様子。
それでも無名俳優ばかりの本作で、100万人以上の動員を達成している。