おさかなはフィッシュ

PTUのおさかなはフィッシュのレビュー・感想・評価

PTU(2003年製作の映画)
3.0
冒頭の一触即発な空気漂う席替えパズルからのクロスカッティング立ち回りは、数の映画なのかなと期待させる繋ぎでよかった。
その方向で言うと、街に散らばった警察やマフィア、果ては自転車少年までもが一本の広東道に集う午前4時の銃撃戦は、まさに待望されたクライマックスで胸が躍る。
マフィアの徒党を組んでユラユラ歩く様が雑然としたアジアの街に溶け込んでいた分、PTUの銃撃フォーメーションが映えた。各々ピタリと静止した画には職業集団の矜持が感じられた。(スーパー戦隊に片足突っ込んでてちょっと笑ったけれど。)

妙に静かなのに加え、包丁が貫通したマフィアがそのまま車を運転して病院に向かったり、警官がバナナの皮で滑って転んだりと、慣れるまでは困惑する独特の笑いの雰囲気。
ところどころイロモネアのサイレントを見ている気分になる。
全体的に平坦な作りでメリハリが欲しい感じはあったけれど、金曜日の夜にビール飲みながら観るにはちょうどいいテンポ感だったかもしれない。
とにかく緊張を削ぎにくる場違いなギターのBGMにも、じきに慣れた。
(同じ題材でキメッキメのバージョンも観てみたい気はした…。)



香港の街がよく撮れていると聞いて鑑賞。
銃撃戦のシーンでは、倒れながら撃ち合う二人の男より、街灯が白く反射するアスファルトの異様な美しさに目が行く。
舐めるように移動するカメラに、ああきっと好きなんだろうなと微笑ましい気持ちになる。