ナミ

いろとりどりの親子のナミのレビュー・感想・評価

いろとりどりの親子(2018年製作の映画)
3.7
マイノリティの人々(及びその家族)に対して「大変だろうな」とか「生きづらいだろうな」とか勝手に思うのって、下戸の人に「酒が飲めないなんて人生半分ぐらい損してるよな〜!」とか言ってる飲んだくれと同じぐらい下世話なのかもな、と思った。

「マイノリティであることを当事者が肯定的に捉えている姿」というのは至るところでよく発信されていて、私は正直なんだか信じられないというか、本当に心からそう思ってるの?と疑問に感じているところがあった。
だからこの作品で登場する低身長症の夫婦が「産まれてくる子どもも低身長症がいい」と発言していたのは結構な衝撃で、本当にそう思うのか!!すげーな!!ってシンプルに圧倒された。

*****

だけど、それでも私は「自分の子どもが当事者だったら」という視点で考えると正直今は答えが出せない。
出生前診断で陽性反応が出た妊婦の9割が中絶を選択しているという事実を知ったとき、どこか安心した自分がいたし、こんな映画を観たりして色んな世界を学んでも、結局自分の子どもには「普通」であってほしいと思ってしまう。
人間に対する形容詞としての「普通」って言葉、大嫌いだと思ってたのに、結局自分もそういう人間なのかって嫌になるけど。

いざ自分がその立場になったら、それまでの価値観や望んでいた人生像やプライドを全部かなぐり捨てて「普通じゃない」我が子を愛せるのかな。
この宿題は今の私には難しすぎてまだまだ終わりそうにない。
ナミ

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