いののん

いろとりどりの親子のいののんのレビュー・感想・評価

いろとりどりの親子(2018年製作の映画)
4.0
作家アンドリュー・ソロモン(初めて知った)の『FAR FROM THE TREE』が原作。映画には彼自身も登場する。この映画は、土台や骨組みがしっかりとしているなあという印象をもった。ダウン症、自閉症、低身長症、LGBTなど、6組の親子をめぐるドキュメンタリー。


沢山の印象的なエピソードのなかから、特に心に残ったエピソードをひとつ。

親が子に、初めて出会ったのだと思う瞬間。それは、誕生の瞬間とはまた違う瞬間。そのままの息子でよいのだと、あなたはそのままのあなたで良いのだと、そんな真実に親が行き着いた瞬間。子どもからしてみたら、僕はここにいるんだと、言えた瞬間。僕だって頑張って生きている。やっと、言えた。やっと、伝えられた。やっと、受け取ってもらえた。自閉症と診断された親子の、格闘の末にたどり着いた、力強い、答え。


その出会いの瞬間に、私たち観客も、立ち会えたこと。この出会いの奇跡は、揺るぎない確信となって、私の心にもしっかりと根づいたらいい。この瞬間の確かな手応えがあれば、観客はそれぞれ、心に根づかせたものを持ち帰り、それぞれの場で育てていけるのではないかと、私は思うのだ。笑顔がみんなステキだった。しあわせの形は無限にある。うんうん。そうだったんだよな。
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