dita

マダムのおかしな晩餐会のditaのレビュー・感想・評価

マダムのおかしな晩餐会(2016年製作の映画)
3.5
@塚口サンサン劇場   

思った以上のウディ臭もしくはアンジャッシュ臭でなかなか面白かった。ロマンティックが止まらないやつかと思いきや、かなり現実寄りの物語で刺さる部分も多い。
キツいなと思ったのが、序盤の誰を晩餐会の席に座らせるかのところでフィリピーナは選択肢にすら入らないって言っちゃうやつ。観ているこちらは引っ掛かりを覚えるんやけど映画の中の人たちは誰も渋い顔をしない。たぶんこれはわざとで、単なる上下関係や階級意識の他にどれだけの差別意識を持っているのかを示していたんだと思う。

『日の名残り』のスティーブンスなら絶対仕えないであろう贋作セレブたちの空っぽぶりと人間味溢れるメイドたち、人は自分にないものに惹かれるっていうけど、それだって建前で、愛があれば大丈夫!って大声で歌うことなんて出来やしない。それが現実。

ラストは時間が経って考えると、マリアの人生は映画が終わっても続くからハッピーエンドは人に頼らず自分で引き寄せるってことかな。

と、割と長々と書きましたが、いちばん言いたいことは、トム・ヒューズ!なにあの男前!なにあの色気!生きててくれてありがとう!ということなので全部忘れてください。
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