さすらいの用心棒

大菩薩峠 第二部のさすらいの用心棒のレビュー・感想・評価

大菩薩峠 第二部(1958年製作の映画)
3.7
虚無に憑りつかれた剣士を主人公に人間の業を描いた全三部作の第二作。

全41巻で未完のまま終わった小説『大菩薩峠』5度目の映画化。
老人でも若い娘でも、理由もなく斬り捨てる主人公・机竜之介。本作では彼はほとんど登場せず、彼の周りを取り巻く人々との不思議な「因果」を描き、仏教思想が色濃く表れている。「因果」というべきか、「狭い世間」というべきか、偶然近くにいたことや、知り合いの知り合いであるといった些細な縁が人と人を結んでゆき、しかも当人同士はその縁にも気づいていないという様相は映像で見るとわかりやすい。案外、こういうことで世の中は成り立っているのかもしれない。