ネギの子供

19歳のネギの子供のレビュー・感想・評価

19歳(2018年製作の映画)
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青山シアターにて。やっぱPFF、ひいては映画って自由でいいよねー。単純にフィクション、ノンフィクションと二元的には捉えられない作品。あえて言うならドキュメンタリーをフィクションで覆いかぶせた感じ?かな(逆もまた然りなので特に意味はないかも……)。

「わたしは、てっきり20歳になる前に死ぬもんだと思っていた」という19歳の(ありがちかもしれない)自己分析。これに共感してしまうか、過去のものとして懐かしむか、はたまた鼻で笑うのか。「薄っぺらい」と思う人もいるだろうし、主人公のサキ自身もそう言ってる。でもこれをバカにしてしまったら、そこで感性が停止してしまう気がする。そんな映画です。

何よりカメラがいい。靴下を履く⇨穴に気付く⇨縫う⇨履いて出かける⇨気が変わって靴下を脱ぐ、みたいな一連の流れをしっかり収めることで、サキの心情の変化が丁寧に追われていく。粒子感がないのでフィルムで撮ってるわけではなさそうだけど、監督は4:3のフィルムちっくな映像を選択しています。イメージとしては映像日記に近いのかな。

否定的な話ではなく、映画全体で起こっていることをどこかで観たことあるぞ、という印象を受けた。それでモルモット吉田さんが、佐々木昭一郎に言及しているのを読んで合点がいく(流石映画評論家、マジ敬意)。そう自分が観ていた「マザー」「四季 ユートピアノ」になんとなく似ている。

一応フィクションとして登場する人物が、現実にいる人々と会話を重ねるシーン。「19歳」でいうところのハスキーを飼ってる大野さん夫婦やカメラ屋の店員です。彼らとの会話のぎこちなさを残す(もしくはただ映ってしまった)ことで、サキが見せるさまざまな表情の真実味が担保される。単純に、うわ好き!ってなる。

いわゆる「親友」タイプではない友達たちとの絡みも。高校のときは同じグループじゃないけど、なんとなく近況報告し合うようになっためぐみ、就活を始めて写真撮影をサキに頼んできたおのちゃん。距離感なのか、なんなのか、うまく説明できないけどいいんですよー。

PFFアワード2018の中では一番の好みかもしれない。