にしやん

米軍(アメリカ)が最も恐れた男 カメジロー不屈の生涯のにしやんのレビュー・感想・評価

5.0
第二次大戦後、アメリカ占領下の沖縄で米軍の圧政と戦った政治家、瀬長亀次郎の生き様を描いたドキュメンタリーの第2弾や。前作の「米軍が最も恐れた男 その名は、カメジロー」の続編にあたる本作は、カメジローの生涯をさらに深く掘り下げてるんと、本土復帰へ向けた激動の沖縄そのもんを描き出してるわ。

前作に続きこの映画を観て、前作以上にこのカメジローという政治家の生き様に痺れたわ。自治権が認められず、アメリカに従うしかなかった時代に(今も本質的には変わらん)、米軍に抵抗をし続けて、米軍からありとあらゆる弾圧や妨害を受けてもなお、それに絶対に屈することなく自分が正しいと思う信念を貫き通したその生き様は 、まさに予告編にもある「男は決して曲がらない一筋の道を歩き続けた」というナレーションの通りやな。 米軍にも日本政府にも全く屈さへん、これこそほんまもんの政治家やなとあらためて思たわ。辺野古の問題にしてもそうやけど、沖縄の強烈な自治意識の原点は、ほんまこの人にあるんかもしれんな。 大したもんやわ。

第2弾では、カメジローの人間としての魅力にもようけ触れてるわ。自分が借金をしてでも困っている人を助けたっちゅうエピソードやとか、奥さんとの微笑ましいやり取りやとか、娘に「うちはいつテレビを買うの?」とせがまれて困ったというようなエピソードもあって、ひとりの人間として、夫として、父親としての部分も垣間見えたところも良かったんとちゃうかな。

​本作のクライマックス​​、1971年12月4日の国会で​の​カメジロー​​と​佐藤首相との​ほぼ完全版ともいえる12分間の​質疑シーン、これ​​は​圧巻やったわ​。「基地もない、アメリカ軍もない、初めて平和という言葉が使えるんだ!」「この沖縄の大地は再び戦場となることを拒否する!基地となることを拒否する!」​のカメジローの弁舌には、涙腺が崩壊してもたわ。国会の質問聞いて泣いてしもたんは、生まれてこの方51年で、ほんまに初めてやわ。佐藤首相がカメジローよりも小っちゃく見えたな。この国に、それも戦後に、ようこんな凄い政治家が居ったもんやな。​感動したわ。

​​沖縄​は、​大戦中には​本土の盾になり、その後​は​本土から切り離され、米軍による理不尽な事件や事故に見舞われ​、また多くの女性が米兵に​蹂躙され続けてきた訳や。トランプ大統領は日米安保​は​不公平​やとか抜かしてるけど​、日米にずっと不公平を強いられてきたんは沖縄県民​やで。何も分かっとらん。アホとちゃうか。戦中、戦後通じて、沖縄の犠牲の​上に​今の日本があ​ることを、わし等も絶対に忘れたらいかん。カメジローを観て、​改めて沖縄の基地​負担の問題​について考えさ​せられたわ。​

映画の評価というよりも、このカメジローという人間の生き様に満点や。
にしやん

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