Cavianne

いちごの唄のCavianneのネタバレレビュー・内容・結末

いちごの唄(2019年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます


コウタは、一言でいえば無邪気。

大人になるにつれ少しずつ落としてきてしまったもの、
大人になるにつれ気付かずへばり付いてしまったもの、
そういうもの皆無で、
一般的な成長と速度の違いがあって、
痛いほどに青くて真っ直ぐで、
穿った感覚なんて持っていなくて、
優しさなんて恩着せがましいものじゃない温かさをまとっていて。

かえってその純真さが、千日にとっては助けでもあり、刃でもあった訳だけど。

伸二の死に縛り付けられ、幸福から逃げていた千日と、
「伸二の命日」である七夕を再会の「運命の日」として明るく受け入れるコウタと、
ふたりにとって同じくらい重要な日だけれど、その想いは全く違っていて、
それでも共に過ごす時間はお互いに楽しくて幸せで。


千日は、コウタに会うたびに塞がれていく傷を、
別れた後に再び自分で抉っていた訳だけど、
園長と話して、唯一母親からもらった名前という愛を知り、
やっと自分や他人を受け入れる勇気をほんの少し得られた。

過去を乗り越えたい千日と、
自転車が伸二との友情のきっかけであったことを思い出したコウタと、
ふたりで坂を下り、現場を通りすぎ、
眼前に真っ赤な畑が広がったシーンは美しく気持ちよかった。

でもまぁ、あのジャンプは骨折してもおかしくないのでやめてほしいな(笑)

それと、
いちご園=ストロベリーフィールド=千日紅
っていうのは少し微妙だなぁと思ってしまった。
偶然!っていうことなら、まぁ良いのだけれど、
最初からいちご園に捨てていくつもりで名付けたとしか……。
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