マクガフィン

峠 最後のサムライのマクガフィンのレビュー・感想・評価

峠 最後のサムライ(2020年製作の映画)
2.7
時代劇なのにキャラの掘り起こしやエピソードの捌き方が甘く、作品で重要なことがダイレクトには伝わらないのが残念。古臭いテイストや演出で、時代劇が敬遠されるパブリックイメージのそのままな出来栄えに。原作未読。

①北越戦争の戊辰戦争最大の激戦。➁一度落城した城が奪還される稀なケース。③河井継之助の政治力(新政府との小千谷談判や長岡藩内や長岡の民に対する、駆け引きや主導)。➃河井継之助の戦法の上手さ。⑤時世と先見性や思想に反するような危うい河井継之助の掴み処がないような魅力。抑え処の5点のエピソードが上手くを描かれていないことに尽きる。①・➁のスケールとスペクタクル不足で、新政府軍の視点が無いので戦況が分かりずらいことが致命的に。

小藩・長岡でガトリング砲などの最新兵器の調達など、どうやって工面したかが描かれていなく、財政や行動力や先見性が曖昧に。後の〈米百俵〉に伝わるようなレガシーも描かれていないので、教育による実績や影響も、余り伝わってこないのも惜しい。

戦争を回避できなかった選択はないかと疑問は残るが、時世に飲み込まれる模様や、政治的中立性の故の危うさはウクライナ侵攻を髣髴するような背景で、その渦巻く中で貫いた先にある、滅びゆく美学は、何とも言えない感情が沸き起こる。