回想シーンでご飯3杯いける

バスターのバラードの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

バスターのバラード(2018年製作の映画)
3.6
(Netflixオリジナル映画を連載形式で一気にレビュー。4作目)

コーエン兄弟の作品はこれまでにもいくつか観て来たものの、演出が高度というか、粋過ぎるというか、映画にある程度の俗っぽさを求める僕には近寄り難いものがあったのだけれど、本来は連続ドラマを想定して企画されたというこのオムニバス映画は、彼らの作品の中でも分かり易い作りで、かなり楽しめた。

6つの短編の結末では誰かが死ぬ。西部劇ではあるものの、そこで死ぬ者は必ずしも格好良いわけではない。そんな何でもない死に対して、多少ブラックな視点を加えながら、愛情を持って描いた連作である。

死亡シーンがタランティーノ的なグロテスクさを持って描かれているのも特徴。Netflix限定作品と言う事で、コーエン兄弟の中にあった粋という箍(たが)が外れてしまったのかもしれない。それがとても良い方向に作用している。荒野を映し出す映像もとても綺麗で、その世界に浸れる130分。