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バスターのバラードのtjZeroのレビュー・感想・評価

バスターのバラード(2018年製作の映画)
3.8
🗾では劇場未公開の、NetFlixオリジナル作品。

なってったって、あの(ジョエル&イーサン)コーエン兄弟の脚本・監督作だし、多くのかたに観て頂きたいので、ご紹介します。

元々は📺ドラマの企画だったようで、その名残なのか、開拓時代の西部を舞台にした6話のオムニバス作品。

① 『バスターのバラード』…輝く歯に真っ白の衣装で、歌いながら人を撃つ、謎の殺し屋バスター・スクラッグスの物語。

② 『アルゴネス付近』…銀行強盗が返り討ちに遭い、首吊りの刑を宣告される物語。

③ 『食事券』…四肢欠損の青年と、彼を見せ物にして巡業を行なう興行師との物語。

④ 『金の谷』…川沿いの金鉱を掘って、一攫千金をめざす老人の物語。

⑤ 『早とちりの娘』…幌馬車隊で移動する、家族を失った若い娘と隊を護衛するガンマンとの物語。

⑥ 『遺骸』…駅馬車の天井に死体を乗せて運ぶふたりの賞金稼ぎと、乗り合わせた3人の乗客との物語。

全編のタイトルでもある①で”白い死神”バスターが唄う不気味なバラードが、他のエピソードでも重低音として響き続けている感じ。
なので、②以降でほのぼのとした挿話が出てきても、常に背後に”死の影”がちらついて緊張感が持続して、心穏やかにはしてくれません。
つまり、①の短編自体が、他の5編への”主題歌”の役割を果たしている巧みな構成。

未文明で過酷な自然と隣り合わせた西部で、身近な死の存在と生のはかなさとがクッキリと浮かび上がる、アメリカ版のグリム童話みたいな珠玉の短編集です。
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