ノラネコの呑んで観るシネマ

華氏 119のノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

華氏 119(2018年製作の映画)
4.7
流石だ。むちゃくちゃ面白い・・。
自作の「華氏911」をひっくり返したタイトルは、ヒラリーが敗れた大統領選結果判明の11/9と緊急ダイヤルの119をかけたもの。
世界が驚いたトランプ当選から始まり、トランプ以前にプチトランプ的知事が誕生していたミシガン州で起こったこと、学校乱射事件の生き残り生徒たちの行動、今回の中間選挙を盛り上げたマイノリティ候補たちの活動と、トランプという強烈なキャラクターを軸に、この数年間に起こったことを追ってゆく。
興味深いのはトランプ政権を誕生させたとして、オバマを含む民衆党旧世代も断罪していること。
民主党への絶望が、トランプ躍進を煽ったって、どこかの国でも同じこと聞いた様な。
これは「私はあなたのニグロではない」にも出てくるだけど、人間を突き動かす感情には二種類あって、被差別階層が抱くのが理不尽な境遇への「怒り」で差別階層は地位を奪われる「恐怖」。
マイケル・ムーアはこれまで「怒り」の映画を作ってきたが、今回は民主社会を奪われる「恐怖」を煽ってきた。
しかもそれは作中でムーア自身が「危険」であると言っているアイロニー。
要するに今回は、徹底的にトランプ潰しに行かないとマジでヤバイと思っているのだろうな。
しかしやっぱり、アメリカ社会は良くも悪くもダイナミックだ。
中間選挙でトランプの勢いには一定の歯止めがかかったが、ニュースで取り上げられた候補者たちも出てくるので余計に面白い。
まあ意固地になって、余計に過激化しそうな気もするけど。
アンチトランプの本気のプロパガンダ。
ブレグジットもそうだけど、トランプなんて本人も含めてネタだと思ってたのが大統領になっちゃうんだから、選挙の類は常に真剣勝負と思わないと、結局自分の首を締めちゃうことを肝に銘じないといけない。
ブログ記事:
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