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華氏 119のdaiyuukiのレビュー・感想・評価

華氏 119(2018年製作の映画)
4.7
2016年11月9日、ドナルド・トランプは米大統領の勝利を宣言。 
あのブッシュ政権に突撃した世界的大ヒット作『華氏911』から14年―、今度は現大統領トランプとの宿命の対決が始まる。 
16年7月、ムーアは「大統領選にトランプが勝利する5つの理由」というエッセイを書き、この暗黒時代を既に予測していた。 
当選後もトランプは、連日のツイッター炎上、虚言暴言やスキャンダルで、政権はカオス状態に。それにも関わらず、米国だけでなく世界にも影響を及ぼし続けている。 
なぜ、こんなことに!?実は少数派のみが支持するトランプの政策がアメリカ全土の意志になっていく狡猾な“からくり”とは!? 
ムーア執念の突撃取材により、驚愕の真実が次々と暴かれていく。 
ドナルド・トランプが大統領になる兆しは、オバマ大統領時代からあった。従来の民主党支持者の労働者向けの政策を実行しても上手く票や寄付金が集まらず、大企業優遇する政策を主張し大企業から寄付金を集めるようになった。
ミシガン州フリントでは、水道事業のコスト削減のために湖から川に水源を移し、汚染された水道水のせいで感染症などで死者が出たけど、フリントの知事スナイダーは何らかの対策を実行しなかった。住民の怒りの声を受けてオバマ大統領がフリントを訪れるが、集会で濾過した水道水をコップで飲むふりをするというパフォーマンスをし、濾過すれば安心と住民にアピールして対策を実行しなかった。
草の根運動で民主党の候補者になるために予備選に出馬しようとする住民候補者が出たけど、民主党の重鎮に出馬を断念するように圧力をかけられた。
こういった状況を打破するためにソーシャルメディアを使った草の根運動が、盛んになっている。フロリダ州パークランド高校での銃乱射事件のサバイバーが、トランプ大統領に銃規制を訴えた「生命の行進」が、各州で実施された。ウェストヴァージニア州のブラック企業並みの待遇の教職員は、待遇改善を求めてストライキを実施して待遇改善させた。バーニー・サンダースやアレクサンドリア・オカシオ=コルテスなど民主党の従来の政策にとらわれない草の根運動を支持基盤にした新たな政治家が、先の予備選挙で多数当選して民主党やトランプ政権に多大な影響を与え始めている。
ある政治家が言うように、「国民を団結させないために政治家は分断を謀る」。
違うように見えて関連性のある社会問題を通じた草の根運動の繋がりにより、市民運動の圧力によって形骸化した民主政治を変える起爆剤になるかもしれないと思えるドキュメンタリー映画。
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