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ベル・カント とらわれのアリアのodyssのレビュー・感想・評価

3.0
【テロリストの運命】

アメリカ映画ですが、渡辺謙が日本の実業家役で主役をやっています。
舞台は南米の某国。仕事上の訪問という口実で彼はその某国を訪れるのですが、実は世界的なソプラノ歌手の歌を聴くのが本当の目的。この歌手の役がジュリアン・ムーア。

ところが、某邸宅で歌手が歌っている最中にテロリストが襲ってきて、その場に居合わせた面々は人質にとられてしまう。

しかし、警官隊に囲まれた邸宅でテロリストと人質が一緒に暮らしている間に・・・という筋書。

いわゆるストックホルム症候群をテーマとした映画。恐ろしげなテロリストだって人間だし・・・ということ。

悪くはない。でも、決定的なインパクトを持つ映画にはなり得ていないような。

ラストが甘くないのが、いいところかも。

私が思い出したのは、昔、日本の飛行機と西ドイツの飛行機が、ほぼ同時期にテロリストに飛行機をハイジャックされるという事件が起こっていることです。

1977年、日航機が日本赤軍にハイジャックされ、バングラディシュの首都ダッカに着陸させられました。犯人側から、日本の刑務所につながれている仲間を釈放しろという要求が。当時の首相・福田赳夫は、超法規的措置と称して要求を受け入れました。

同じ頃、西ドイツの飛行機もテロリストに乗っ取られました。やはり同様の要求が出されたのですが、西ドイツ政府がとった対応は日本と正反対。夜、秘密部隊をその飛行機に潜入させ、犯人グループと銃撃戦の末、犯人たちを射殺しました。さいわい乗客は全員無事だったのですが、機長が銃弾に当たって亡くなっています。

言うまでもなく、西ドイツの方法が国際標準なのです。(もっとも、欧米が例外なくこういう方法をとっているとも言えませんが。)
言い換えれば、戦後日本は保守政治家ですら平和ボケになっていたということでしょう。
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