このレビューはネタバレを含みます
この作品、原作はAmazonベスト・ブック・オブ・ザ・イヤーにも輝いたアン・パチェットのベストセラー小説「ベル・カント」を映画化したものです。
1996年ペルーで起きた日本大使公邸占拠事件からヒントを得て、テロリストと人質の予期せぬ交流を描いたストーリーです。
私、もちろんこの事件を知っているのですが(ああ年齢がバレますかね)、印象に残っているのは当時のフジモリ大統領の姿と、突入して犯人が射殺されたこと。
そのことを知っている状況で、この作品を観るのはなんとなく結果が分かっているだけに切ない。
そんな中で、この作品の核となっているのは、ジュリアン・ムーア演ずるオペラ歌手ロクサーヌ・コスの存在です。
彼女は世界を代表する歌姫でその美しい歌声は、敵も味方も全ての人々を魅了。
年若いテロリストたちの気持ちをも和らげる存在感で、素晴らしい音楽は全ての人に伝わる、心を動かすことができるんだと思いました。
「口パクがひどい」なんて言われていましたが、私そこまで気にならなかったです。
そして、語らなければいけないもう一つのことは、このアメリカの作品にしっかりとした印象と存在感を残した渡辺謙と加瀬亮の両日本人俳優です。
日本のビジネスマン「ホソカワ」演ずる世界のケン・ワタナベ。
こんな品のある日本人ビジネスマン、いるんでしょうか?
というくらい、ジェントルマンで素敵な人物として描かれています。
また、通訳「ゲン・ワタナベ」(なぜこのネーミング!?)加瀬くんの流暢な英語とスペイン語!
改めて海外における語学の大切さを実感……。
ただ、恋愛要素無理やり入れる必要あります?
どっちかだけでよかった。
これ「こんな大変な時に日本人2人何やってんねん」問題じゃないです?
少なくとも私は、「おいっ!」ってつっこんでしまいました。
それでもトータルで観て面白かった作品です。
原作はもちろん、日本大使公邸占拠事件について調べてみたくなりました。