螢

幻影師アイゼンハイムの螢のレビュー・感想・評価

幻影師アイゼンハイム(2006年製作の映画)
3.2
19世紀末のウィーンを舞台に、幼なじみの奇術師の青年と公爵令嬢の身分違いの恋の結末を描いた王道少女漫画のようなお話。

若かりしころに引き離されて失った恋を取り戻すために得意の奇術を駆使しながら奔走する、理知的な佇まいを崩さない青年。
皇太子の婚約者筆頭候補でありながら、15年の時を経て再会した平民の幼なじみへの愛を貫こうとする、勝気で美しい公爵令嬢。
二人の仲を裂こうとする、粗暴でいかにも悪役な皇太子。
皇太子の側近でありながら、その生真面目さと優しさゆえに、奇術師たちを気遣う警部。

装飾的で優美なウィーンの街を舞台に物語は展開していきます。

引き裂かれる恋から皇太子との対決に向かっていく序盤から中盤の、伏線が張られるような物語の作りに対し、「事件後」の後半以降はどうも都合よく進むし、なんだか肝心なところは明かされてないし…で肩透かし感があって正直拍子抜けしてしまう。

けれど、後味はいいし、視覚的にも美しいので、読み切り少女漫画の映画版と割り切って軽い気持ちで観るならよくできた部類に入る作品。
螢