SHIDOU

ジョーカーのSHIDOUのレビュー・感想・評価

ジョーカー(2019年製作の映画)
5.0
‪1ヶ月前くらいから
ずっと心待ちにしていた。
自分の中で高くあがりきった
期待のハードルを、
軽々と3段くらい超えてきた。

‬ホアキン・フェニックスの、‬
‪肉体、表情、全てに驚愕した。‬
‪共演のロバート・デ・ニーロの
十八番を奪うような、肉体のアプローチ。
その姿は、異形。

そして何より凄まじいのは、
彼の「笑い」だ。
絶望、悲しみ、怒り、諦観…
全てが笑いで表現されている。
‪今作はぜひ、字幕で観てほしい。‬
‪アーサーの声を、聞いてほしい。‬

限界まで張り詰めた糸が、
一体いつ切れてしまうのか…
そんな緊張感が冒頭から漂う。

そんな強迫的な空気が
「プツリ」と切れた瞬間から始まる、
地獄のエンタテインメントショー。

アーサーの慟哭は、
アーサーの孤独は、
決して他人事には思えない。

そして、ジョーカー・ライジング…
僕は戦慄し、同時に感動した。

今回のジョーカーが素晴らしいのは、
「カリスマ性が皆無」
ということだと思っている。
人を惹きつける魅力もない、
弱者としかいいようのない男が、
己だけでは制御しきれない
時代のうねりに飲み込まれた結果、
ヴィランに「祭り上げられてしまった」。
そこに恐ろしさがある。

ピエロの1人は、自分かもしれない。
ジョーカーにだってなり得る。

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ゴッサムシティで起きたことは、
絵空事ではないように思えた。
日本でだって起こりうる。

何らかの引き金が引かれれば、
同じようなカオスが訪れたっていい。
むしろ、もちろん自分も含めて、
日本人は我慢し過ぎている。
もっとこの現状に怒っていいように思う。

そんなニッポンのジョーカーの誕生を
心待ちにしたくなるような、
黒い期待を抱かせる。
危険な、しかし現代社会の
本質をついた映画だと思うのです。

※10/4にオープンする、
丸の内ピカデリーのドルビーシネマの
先行試写会を観た。
音響もたしかに凄かったけれど、
黒色の深みがすごく印象的で、
画面が暗転するとスクリーンの淵が
まったく見えない、真っ暗な状態に。

これがアーサーの心情と
非常にマッチしていて、
心を大きく揺さぶられた。
映画をスクリーンで、
いい環境で観るって、やっぱり大事。

比較して見る意味でも、
別の劇場で、また観たいと思う。
SHIDOU

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