「笑い」とは、怖くもあり、神聖なものでもある。
ずっと、アーサーは笑っている。
徐々に狂気が増していく彼の笑顔。後半にかけて、溜め込んだものが一気に吹き出していく。その強烈な演技に、「感染」させられる人は多いだろう。かつての『タクシードライバー』のように。
とくに、ジョーカーおなじみの白塗りの怖さが半端ない。人間に罰を与える「何か」のようだ。人を超えてる。純粋な恐怖度でいったら、歴代1位ではないか...
それほど、ホアキンの演技が神なのだろう。
ダークナイトのジョーカーは、正体不明さが良かった。一方こちらは生身の人間。それなのに、時折り、「人を超えた表情」を見せる。等身大の人間なのにだ。このアンバランスな怪奇さに、彼の「笑い」が大きく影響していると思う。
ストーリーは、ありふれたものかもしれない。しかし、ホアキンの演技、完璧ともいえる絵づくりなど、とんでもない映画に仕上がっていた。