「ドン底で終わるより、一夜の王になりたい」とパンプキンは締めくくり、本作のオマージュ元であるキングオブコメディはラストを迎える。
ジョーカーであるアーサーも同様の思念を持つ男だ。
ゴッサムが現実に近い描写については、アーサーを取り巻く苦しさと狂気が逸脱しすぎていないのも、観客に共感性を持ってもらうため、
ジョーカーという名前や世界設定を借り、息苦しさと怒りに満ちた人間の内面が解放され、憧れても得られなかった豊かさと愛を暴力で奪い取ることを肯定するような演出で満たされている。
怒りの解放を迎え覚醒する彼の姿はハッピーそのもの。同時に観客に「あなたの抱いた高揚感は妄想かもしれないよ?」と冷や水をかけ、感情を揺さぶる。
いつかあの場所で輝きたいと願うアーサーの姿を劇中のモブ達は不自然なまでに見向きもしない。
注目を浴びるには多少なりとも過激な行動を起こしていかなくてはいけない、その行動は喜劇だった。
この部分はチャップリンの「人生は近くで見ると悲劇だが、遠くから見れば喜劇だ」という言葉を連想した。
近年のアメコミ映画でここまで観客が共感する苦しみや妬み、怒りを掻き立てる作品もないなぁと思いつつ鑑賞。好きです!!
めちゃくちゃ元気出た!