atsushi

ジョーカーのatsushiのレビュー・感想・評価

ジョーカー(2019年製作の映画)
3.9
2019/10/06 1回目
【2019年158本目】
人々が犯罪者や殺人者にどこか興味を惹かれるのは、何故なんでしょう。

悪のカリスマ、ここに爆誕。
世界で最も有名で、最も愛されているヴィランの1人、ジョーカー。そんなカリスマをこれまたカリスマ俳優のホアキン・フェニックスが怪演。特にホアキンの背中が良い。カリスマの相乗効果で、魅力的なジョーカーがまた1人生み出されました。

"君は病気だ、君はおかしい。そう言ったね...
違う、これが僕なんだ"

張り詰める緊張感とは裏腹に、劇場内に不気味に響く彼の笑い声。しかし、顔は泣いている。心の底から笑っているシーンなんて、ほとんどない。多くは半強制的に出てくる悲鳴に似た何かのようで。
我々は、社会が生み出した膿がいかにして悪に成り代わっていくのかを、只々傍観することになります。
ただ恐ろしいだけでないし、ただ魅力的なだけでもない。言葉足らずですが、許されるなら芸術的だと形容したい。

この映画の内容について、各国で物議を醸しているらしいですが、皮肉にも劇中でアーサー自身はこう言及しています。
善悪の判断は自分で決めるしかないと。

2019/11/03 2回目 渋谷シネクイント
アーサーの家路には大きな階段があります。
一般的に階段を上る事によって希望を、下りる事によって絶望をイメージするのか定説だと思います。
この映画は逆なんですね。
重い足取りで一段一段上がっていく絶望の序盤と、
軽やかに踊りながら駆け下りる希望の終盤。

これは、ある1人の男がJOKERに堕ちていくまでの話。

果たして、この物語はどこまでが現実でどこまでが妄想なのでしょうか。
もしかしたら、それは全て
アーサーの壮大なジョークだったのかも知れません。

2019/11/10 3回目 IMAX レーザー
トッドフィリップスの創り出す、何事も白黒つけないグレーな世界観にまた翻弄されたく、観てきた次第です。

心底暗い映画のトーンとは裏腹に、素晴らしい映画に出会ってしまった喜びと全身が世界観に浸水する感覚に終始笑みがこぼれ、止まない。
atsushi

atsushi