しがない政治学徒

ジョーカーのしがない政治学徒のレビュー・感想・評価

ジョーカー(2019年製作の映画)
5.0
面白かった。共感することが多々あった。監督の力なのか、役者の演技力なのか、はたまた脚本の作り込み具合なのか。
バットマン要素を上手く使えていたと思う。出しすぎず、出さな過ぎず。
この年はパラサイトもヒットしていたが、やはり近年は社会的弱者の問題が普遍化しているのかもしれない。
この映画を見た我々が一体何が出来るのかは考え続けなければいけないし、この映画を見ることすら叶わない者のことを認めなくてはいけない。

俺が一番気になったのは、アーサーが逃走劇を始める前に流れたrock&roll part2。
聞くところによると、児童ポルノ関係の犯罪を犯したミュージシャンの曲らしい。
俺は思うに、いわゆるロリコンやショタコンという性癖も社会的弱者なんではないか。
むしろ真の社会的弱者と言える。
なぜならその性癖を持つこと自体は罪ではなく、それによって他者に危害を加えるもしくは法を破る事が罪であるのに、世の風潮ではロリコンショタコン=犯罪予備軍というイメージがあるからだ。
俺がもし子を持つ親なら当然そう言う存在は危険視する。
がその存在を否定してはいけないとも思う。
幸か不幸か俺はそういうものは持ち合わせていないが、もし俺が性的マイノリティだったら。

抑圧された欲望はいつか爆発する。
押し込められたバネの反発は激しい。

世の中には俺の知らない弱者が沢山いて、俺の知らないところで我慢していたり、差別を受けているかもしれない。
でも俺にはそれをどうこうしてあげられる力も資格もない。

そういうところにジョーカーみたいな爆弾が小さいけど過激な爆弾が一つボカンといく。

すごく怖いことだと思った。