本当に、圧巻だった!
ぐっと不自然に引き上がった口角に、黒い涙。
私は、あんなに悲しい笑い声を今まで聞いたことがない。
ただ、人を笑わせたかった、喜ばせたかった。幸せに生きたかった。それだけなのに。
貧困、差別、暴力、無関心、裏切り。
世の中のありとあらゆる“悪”が、アーサーを痛めつける。
どんな不遇にも、母の教えを胸にひたすら耐えた。
そして、それでも彼は人々を喜ばせたいと思った。
しかし、人々は彼の存在を無視し続け、誰も耳を傾けなかった。
ハッピー(でなければならない)
笑顔(でなければならない)
普通(でいなければならない)
我慢が限界に達した時。
初めて人を撃った銃声は心の怒号。
人から見放され、人の目から解き放たれた彼は“JOKER”として生まれ変わる。
明らかに雰囲気が変わり、自信と落ち着きに満ち、踊る姿はまさにカリスマ。
でも、ひとつだけ。悲しい瞳は変わらない。
笑いは叫び
まさに、喜劇は悲劇
映画というか、ものすごいものを観た。
ホアキン・フェニックスの演技が素晴らしすぎて、鳥肌がとまらなかった。