公開終了ギリギリで観賞。やっっっと観れた…..
周りの評判に違わぬ、最高の映画だった。
愛と悲しみ、狂気、憎しみというスパイスが、
巧妙に混ざり合って最高の「喜劇」へと昇華した(何言ってんの俺)。
他作品の悪役みたく、個人的な理由で悪に染まったチープで薄っぺらい悪役とは違い、
ジョーカーが生まれた原因は「社会」そのモノだと感じた。
世間体を気にして愛人と息子を捨てたウェイン、
その事が原因で精神を病み虐待をする母、
虐待の後遺症で身体と精神、知能にあらゆる障害が生じて、
社会に馴染めず、職場でも不遇な扱いを受け、蔑まれる。
ドミノ倒しのように繋がった様々な要因が、
彼を「アーサー」から「ジョーカー」にした。
あとこの作品の何が好きって、明確な答えがほとんど用意されていない事。
どこからが妄想なのか、もしかしたら全てなのか、はたまた全て事実なのか。
それによってこの映画の解釈が全く違うものになってくる。
それによってさらに深みを増していると思う。
個人的にラストの暴徒によって破壊されるゴッサムシティの中で、
ジョーカーへと変貌するシーンは妄想であって欲しくないなぁ。
ただテレビ中継の出演シーンで、司会者のマレーが『列車内でのアーサーと警官の出来事』を何故か知っていた為、
妄想確定だと言われてるっぽい。
アーサーが司会者を射殺したのが、抑圧されてきた住民の爆発トリガーとなっていたので、
テレビシーンが妄想だとするとジョーカー爆誕シーンも妄想なのかもしれない。辛い。
まぁ妄想だと確定してるシーンは隣人の黒人女性との恋愛関係くらいかな。
一番気になるのはアーサーの父親がウェイン議員なのか。
それとも母のキチガイ妄想なのか。
真相は闇の中である。
この作品を見て、極度に感情移入し涙する観客がいるというのもすごくわかる。
主人公の境遇が、現実でも大いにあり得るからだ。
社会から抑圧されてきた人の心境が、映像を通してひしひしと伝わってくる。
だから上映中、ずっと胸が苦しかったっすね。
笑いのツボがバグってる所とかも、共感性羞恥も半端なかった。
内容はえぐいのに、どこか喜劇というか、トーンとか雰囲気は暗すぎる印象があんまり無いのも、
ピエロという性質をうまく表現出来てると思う。
しかしまぁ道化師というのは本当にやばい奴しかいないよね、
ジョン・ゲイシー、幼少期の太宰治、ヒソカ、ペニーワイズ、そしてアーサー。。
あらゆる感情を白塗りのメイクで覆い隠して、無理やり笑顔を作る。
その表情から時折垣間見える闇が、とても苦しい。
だから現実世界でも、いつもニコニコしている奴は信用ならないし時折すごく恐ろしくなる。本心が見えないから。
生き残ったあの小さな御曹司が、後のバットマンになると聞いて普通に感動した。
個人的にはピエロ会社の同僚の小人おじさんがバットマンになると思ってた。
ちなみにあの小さいおじさんはジョーカーの子分としてコミックスに登場するらしい。
この映画で一番印象に残ったセリフは
「お前らがゴルフをやる場合、ミニゴルフになんのか?」
です。
本当に良い作品でした。DVD買います(確信)