みとも

ジョーカーのみとものネタバレレビュー・内容・結末

ジョーカー(2019年製作の映画)
-

このレビューはネタバレを含みます

ファーストシーン、どころか昔のワーナーのロゴが出てきた時点で掴まれた。昔ながらのフォントでのタイトルバックも。
ニューヨーク、じゃなかった、ゴッサムの街は家の中にいても常に誰かの叫び声や怒鳴り声が聞こえ、パトカーのサイレンが終始うるさい。
終盤に唯一客観的に挿入される場面以外はほとんどがアーサーの視点で描かれる信頼できない語り手映画。つまりこの映画のかなりの部分が主人公の妄想である可能性が高く、ウェイン家の貴族的な支配の正当化に対するある意味悪意のポピュリズムの成就も実際には起きていないことだろう(あの場面は美しくありながらもN国的な気持ち悪さを感じてしまった)。
音楽の使い方など何とも悲劇性を強調しているのだが、小児病棟や家を訪れたピエロ仲間のミジェットの男性のアレなんかは完全なブラックなコメディ的状況であって笑えないけど笑うしかなかった。
脚本はよくできていると思うがストーリーそのものはある程度読めたし、話そのものが本質であるわけでもないだろう。ホアキン・フェニックスが何よりも凄まじいのは、自分では抑えられない哄笑でもなく階段やパトカーの上でのダンスでもなく、世にもみすぼらしいあの背中だ。
みとも

みとも