Lily

ジョーカーのLilyのレビュー・感想・評価

ジョーカー(2019年製作の映画)
3.9
とにかくホアキン・フェニックスの怪演が素晴らしい。
激ヤセすぎて最初誰だかわからなかった。
役作りの天才か...

DC系は全然見たことなくて、ダークナイト見てみたいんだけど、単体で見て理解できるのかわからずに未鑑賞。
今作は一人の男がジョーカーへと変貌を遂げるまでのお話ってことなので、見ても理解出来ると判断して鑑賞。

結論から言うと、映画としての完成度は非常に高い。
ストーリー、世界観、BGM、演技とどれをとっても一級品。
だけど!だけど私にはハマらなかった...ごめんなさい🥺
ダークナイトとかスーサイド・スクワッドとか見てたら、ハマったのかなー...
でも、凄い作品だったことには変わりないです。

現実と妄想の境目がわからなくて、すごくつらかった...
ただ私にはこの気持ちがよくわかる。わかるというか、知ってるというか...
中学生の時に母が消えた。
そのときから毎日長いこと、家族みんなが揃う夢を見た。
夢の中ではいつも通りの日常だけど、起きたら母はいなかった。
今もそうで、自由気ままな夫へ関心をもたないふりをしながら今日も生きている。
ご飯作って帰りを待っていても、飲みに行くと決まれば彼からの連絡など一切ない。
平然と夜中に帰ってくる夫を、怒りもせずにこやかに迎えるのが私の仕事。
夕飯が無駄になっても、娘たちのために全部我慢する。
毎日見る夢の中では、私の描く理想の家族がいる。
そんな風にはなれなかったから、起きた時の絶望は果てしない。
いつか私もジョーカーになれればなぁと思ってしまった。
到底なれはしないけど、失うものがなくなった人間はきっと強い。
ジョーカーが、血縁関係がないとわかって母を見限ったように、私も嫌なもの全部消せたらと思った。
そんなことを思う自分が嫌で、そんなことを思わせたこの映画は、素晴らしいけど認めたくない。
Lily

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